災害に備えた地域での支え合い研修会~障がいのある方などの避難支援を考えよう~

 令和6年10月29日(火)に行なわれた『災害に備えた地域での支え合い研修会~障がいのある方などの避難支援を考えよう~』についてお伝えします。

 ワン・オールは平成28年度から、“誰もが住みやすいあんしんのまちコーディネート事業”を札幌市より受託しています。この事業を広く知っていただくために毎年この支え合い研修会を実施し、今回で6回目の開催となります(コロナウイルス感染予防のため、令和2年度~令和4年度は中止)。

 この事業では、町内会からのご依頼で障がい理解や配慮のポイントを深めることを目的とした研修会の開催、避難訓練の企画・実施への参加、個別避難計画の作成支援など、様々な活動を行ってきました。これらの活動を通して知った行政や地域の取組みを、多くの皆さまに広くご紹介させていただくため、今回は話題提供・行政説明・実践報告の構成で研修企画しております。

 一般社団法人 Wellbe Design 篠原辰二理事長より話題提供「災害が起きる前にできること 仕組みづくり・心構え」と題し、災害対策基本法一部改正や災害時避難行動の変遷、避難行動の基本的な流れ、個別避難計画の作成・視点について説明をいただきました。また、災害時は『避難所への避難』ではなく『危難を避ける』と法律にも記載されていることを話され、法律の解釈を含めた解説から災害時における行動の理解が深まる内容でした。その他、福祉専門職の参画・連携の必要性、障がいのある方の個別性とジェンダー視点についても言及され、平時から「どのように行動するのか」「どう一緒に取り組んでいくのか」等、参加者一人一人が考える機会になったのではないでしょうか。

 札幌市より行政説明として、災害時の支え合いの取組みや事業、法改正を踏まえて札幌市の取組・検討事項(試行実施・福祉事業所の意識調査・モデル実施)について説明いただきました。

 

 

 

 実践報告として、身体障がい当事者(紺野氏)・視覚障がい当事者(片岡氏)より、日頃の生活状況や生活の中での心配事、具体的な避難行動する上で気になる点を話していただきました。障がいによって移動面や情報保障の必要性、支援関係者や地域住民との関わりについて考えさせられる内容でした。

 避難支援の取組みについて町内会(手稲区:前田ゆたか町内会 野瀬福祉部長)の立場と視点から発表いただき、避難支援について町内会組織の中での合意形成するプロセス、平時に取り組んでいる見守り活動の重要性、障がいのある方や高齢者など要配慮者へ寄り添った関わりと支援体制を話され、取組みの参考となる実践事例でした。

 そして、実践報告を進行された一般社団法人Wellbe Design 篠原理事長より最後に「障がいのある方の一人ひとりを踏まえた支援を行っていくことが大切である」とまとめてくださいました。

 いただいたアンケートには「町内会の理解を進めていきたい」「障がい当事者の声を聞けて参考になった」「事業所でBCPを作成しているが、地域との連携を考えていきたい」など、今後の活動のご参考にいただけるのではないかと感じております。行政・福祉・地域・当事者の各々の立場で準備をし、避難支援の取組みや仕組み(平時・災害時)が切れ目なくつなげられるよう実践していこう!と考える研修会でした。